あしたになれば

辰巳は、何事もなかった様に、下駄箱に手を入れ上履きをとった。
すると手紙が落ちてきた。

―またか…

ここ3ヶ月、毎日差出人の名前がないラブレターがはいっている。

最初はうれしかった、東京では、メールでのやりとりしかしていなかったからだ。
だが、3ヶ月も続くと気味が悪い。

―誰だ?ここまでくると、悲劇のヒロインごっこを、楽しんでいるとしか思えないぞ。

そう思い、手紙は読まずに捨てた。


慎太郎はそれに気づき、辰巳を冷やかす
「やっぱり、都会の人は違いますね」

苦笑をして「田舎者のお前とは違うからな」

慎太郎は羨ましそうに「そうですねぇ…」

辰巳は可哀想に思い
「まぁ、いつかお前もな…」

「ですかね、まぁ、今日授業終わったらお出迎えに伺いやす」

笑みを浮かべながらそそくさと、慎太郎は自分の教室に向かった。

「おい!……ちっ…」

(まぁ、バックレるか)
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