JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
エレベーターを降りて、事務所の自分の席に座った。
内線が鳴った。
「はい、経理部相沢です」
『俺だけどー』
ぶっきらぼうな話し方。
「どちら様ですか?」
その声の主が誰なのかわかっている癖に聞き直す。
『俺の声、わかんねぇの?』
もう隣にはゆめちゃんがいないんだね。
優しくないフリしたって、だめ。
倉坂さんって本当はすっごく優しい。
私が泣きそうな気持ちになってることを察して、電話してくれたんだよね。
『今日、残業なかったら、飲みに行く?』
「行きます!!」
飲みに行くなんて初めてだよぉ。
いつも、コーヒーデートだったもんね。
初めての飲みの約束をした私と倉坂さん。
ルンルン気分で仕事をしている私の元に、あの人がやってきた。