JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「ちょっと!!これ、何?早く削除しなさいよ!」
いくらなんでもひどい!
私はそんな風に思ったことない。
振り回されているけど、倉坂さんはひどい男じゃない。
「もう読まれちゃってます。でも、社内の女子社員数人しか見ていないから、大丈夫ですよ」
ゆめちゃんはそう言って、スマホを鞄に入れた。
「だめだよ。そういう噂はすぐに回るんだから。絶対、危ないって」
ゆめちゃんはシクシクと泣き始めた。
そして、私の腕に手を置いて言ったんだ。
「このままだと、私おかしくなる。倉坂さんのことどんどん好きになってしまうんです。いつもそばにいるし、いつも優しいし。でも、彼は絶対私を好きになってはくれないんです」
その涙の奥の瞳を見ていると、それ以上彼女を責めることができなかった。
気持ちが、わかるから。
痛いくらいに、わかるから。
彼ほど魅力的な男性はいない。
倉坂さんといつも一緒に行動しているゆめちゃんは、私よりももっと辛いのかもしれない。