JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
離れていくふたり
~離れていくふたり~
あのキスも、あの言葉も、全部夢だったのかもしれない。
もう、7月になった。
あのメモを最後に、私と倉坂さんは何の接点もなくなった。
もう2週間経ったんだよね。
会っても、普通の挨拶をするだけ。
「あ」
仕事で外出の用事があり、エレベーターに乗った私。
「あの、倉坂さん?」
倉坂さんが乗っていて、願ってもないふたりきり。
これは仲直りのチャンス!!
「倉坂さん、話したいことがあるんだけど、時間ある?」
声が震えていることに自分でも気付いていた。
緊張し過ぎて、本当に倒れちゃうかと思った。
「あ~、すいません。時間ないんですよ」
倉坂さんは目も合わせずにそう言った。
とても、他人行儀に。
怒っているとか、そういうのでもなく。
その他大勢と同じ扱いになったってことか。
倉坂さんの特別な人にはもう戻れないの??
「お願い、話したい」
「本当に時間ないんですよ」
敬語。
突き放された感じ。