JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
私は何も言えなかった。
ただ、ただ後悔した。
あの日、ゆめちゃんと話さなければ良かった。
私と倉坂さんはゴルフから急接近して、どんどん近づけるはずだったんだ。
「わかりました」
エレベーターを降りて、トイレの中で泣いた。
失ってしまった。
大切な人。
キスばっかりして、心が読めない不思議な人。
気のある素振りをする癖に、一歩踏み込むと、逃げちゃうような人。
でも、誰よりも繊細で優しくて、人の気持ちがわかる人。
私は、全部が好きだった。
外見だけじゃない。
倉坂さんの性格も全部、好きだったんだ。
泣いて泣いて、少しスッキリして仕事に戻った。