JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
黄緑と赤の鮮やかな看板のコーヒーショップへと足を運びつつ、真佐に手を振った。
入口近くの席にチョコンと腰掛けた。
窓の外を見ると、次の店に誘われているであろう倉坂さんが見えた。
もうすっかり人気者で、上司や先輩に腕を引っ張られていた。
それを笑顔でかわすところがまたかっこいい。
噂通りの人だった。
一目惚れなんて大袈裟だけど、そんな感じ。
まだ何も知らないのに、倉坂さんのことを全部知っているような気分になっていて。
軽そうに見えて実は硬派だ、とか。
そんなことを考えてしまう。
それは、ただの願望。
恋する女子が抱く勝手な願望に過ぎないのだけれど。
「悪い!待たせたな」
バスケの選手らしく、全力で走って来てくれた。
また胸キュンポイントだ。
「みんなに誘われてたんじゃないですか?」
「いやいや、もうお酒は飲めないから」
はぁ~と息を吐いた倉坂さん。
いい匂いがした。