JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】

「倉坂さん、ありがとうございます。そんな風に言ってくれた人初めてで」

「いや、あんなことする上司が一番ダメなんだけどな」

倉坂さんは、ポンポンって裕美子の背中を叩いて、部屋に戻った。

私は気付かれないようトイレに向かう。


また好きになった。

倉坂壮志、どこまでも素敵な人。

倉坂さんの言葉をひとつずつ思い出す。
トイレの中で、酔いをさました。

トイレから出ると、休憩所に倉坂さんが立っていた。


「トイレ、長いよ。お前の友達と城ノ上さん、部屋行ったぞ」

倉坂さんは、私に気付くとそう言って、ため息をついた。

「誰?裕美子?」

「いや、違う、あの派手な方」

「真佐?」

倉坂さんは、静かに頷いた。

「社員旅行でそういうことするのって、俺はどうかと思うけど」

「そうだね。そっか。真佐とジョーさん、まだ続いてたんだね」

裕美子の顔が浮かぶ。

今晩、ジョーさんと近付きたいって言ってたのに。


< 153 / 331 >

この作品をシェア

pagetop