JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
『今、出張から戻ったんですけど、出張費のことで相談よろしいですか?』
「はい!!」
『それでは、今から行きます』
仕事モードの倉坂さんの声。
数分間、私は自分の机や引き出しを片付けて、深呼吸をしていた。
かなり変な人だ。
「よぉ、お疲れ!」
肩を叩かれて、すぐに振り向きたいのに、仕事が忙しいフリをしてしまう。
「ごめんな、忙しいのに。これ、よろしく」
「はい」
わざとらしいぶっきらぼうな私。
「出張のおみやげ。みんなで食べてください」
「ありがとうございます!!」
倉坂さんはお饅頭の箱を私の前に置いた後、ポケットから紙を出す。
「それと、これもよろしく」
渡された紙には、こう書かれていた。
【仕事終わったら、駅前の空中公園で待ってて】
携帯もメールもSNSもある時代に、アナログなメモ書きをくれる倉坂さんが愛しくてたまらない。
デートだぁ。
嬉しい!!