JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
空中公園に到着し、空いているベンチ腰掛けた。
BGMは川のせせらぎ。
夜なのに、目を閉じると朝のように感じる。
メールも電話も苦手だという倉坂さんは、本当に全然連絡をくれない。
だけど、それが倉坂さんだから、いい。
あ。
来た。
階段を上ってくる倉坂さんが遠くに見えた。
まるでスローモーションのよう。
涙が出ているわけじゃないのに、瞳の中が潤んでいたようだ。
イルミネーションの光がキラキラと輝いて、その中からゆっくりと倉坂さんがこっちに歩いてくる。
夢の中なのかな。
映画のワンシーンのようにも思える。
グレーのスーツの前ボタンを開けて、黒の鞄にとがった靴。
私に向かって歩いてくる。
少しはにかみながら、髪をかきあげ、近付く。
もうだめ。
好き。