JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「それで、どうなったの?」
私は、目を細めて昔を思い出す壮志さんの横顔をずっと見つめていた。
「俺は、その中の誰も好きじゃなかった。だから、もう誰とも付き合わなければいいんだって思ったんだ。でも、最初の子が先輩とか友達に泣いて相談して、俺はドラマみたいに校舎の裏に呼び出されて男の先輩に殴られた。付き合ってるのに、一緒に帰ったりもしなかったし、遊びに行ったりもしてなかったから、彼女も相当俺に腹を立てていたんだと思う。どういうつもりで付き合ってたんだって言われて、俺は答えることもできずに逃げた」
「殴られたの?壮志さんが??」
「ああ、人生で初めてだった。きっとこの先もないと思うから貴重な経験だったかな」
そう笑った壮志さんを抱きしめたくなった。
ううん。
中学生の壮志さんを抱きしめてあげたいって思ったんだ。
中学生で上手に恋愛できる子なんて少ないよ。
不器用で、恥ずかしくて、うまくいかないのが恋愛。
他の人にそんなこと言われるなんて、かわいそうだよ。