JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「菜々子、完全にノックアウトだね」
「否定はできない」
真佐は、にんまりと笑って、唇についたふわとろ卵をなめた。
「壮志情報、いろいろ仕入れてあげるから。でも、本気にならない方が良いよ~」
真佐が“壮志”なんて言うからドキドキしてしまう。
倉坂さんとお付き合いすることになったら、私は“壮志さん”な~んて呼ぶのかしら。
「聞いてる?菜々子、さっきからニヤニヤしすぎ!」
テーブルの下で真佐が私の足先を蹴る。
ブランド物の高い靴が、履き古したオフィス用サンダルに当たる。
「ふふふふ」
不気味に笑う私。
もう戻れない。
彼を知らなかった頃には。
明るい未来が待っている恋だとは思えない。
もしかしたら、とても辛い恋になるかもしれない。
も、幸せで幸せで仕方がない。
これが、恋というものなのか。