JUICY KISS ～あなたの唇独り占め～【番外編追加】

「いいんだよ。いろいろ考えなくて。菜々子は倉坂さんとの恋愛だけを頑張ればいい。あんなに競争率の高い彼氏をゲットできたんだからさ。トントンって、結婚まで行きなさい」

け、結婚･･････？

考えちゃいけないって思ってるのに、毎晩考えてしまう、結婚。

結婚まで･･････いけるのかな。


「あ、ごめん」

ずっとカウンターに置いていた真佐のスマホが光る。

「もしもし」

と席を外す真佐。

見る気はなかったんだけど、見えてしまった画面の文字。

知っている名前。
同じ会社で、誰もが名前を知っているけど、遠い存在すぎて話したこともない人。

社長の息子、「中嶋孝太」

絡まっていた糸が解ける感覚。

自分の恋愛を話したがらないわけ。
最近、コンパにも行っていないわけ。

繋がる。

禁断中の禁断の恋をしているのかもしれない。

だって、中嶋常務は取引先の娘さんとの婚約が噂されている。


人生いろいろあるよね。

綺麗だからって幸せになれるわけじゃないし、頑張ったからってうまくいくってもんでもない。

公平じゃない。
神様はいじわるだもん。

でも、時々ものすごいご褒美をくれたりする。

だから、神様を信じてしまうんだ。