JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
席に戻っても手の震えが止まらなかった。
机の上の書類に目を通しながらも、書類に書かれている内容は全く頭に入ってこない。
裕美子が、壮志さんを好きだった。
鈍感すぎる、私。
ジョーさんの気持ちにも気付かない私。
自分のことばかりで、周りが見えていない空気の読めない女なのではないだろうか。
裕美子、本当にごめん。
私は、戻ってきた裕美子の目を見ることができず、忙しいフリをして書類にはんこを押したりしていた。
「会議、いつ終わるんですかねぇ~」
さっきまでの裕美子とは別人のような明るい声で話しかけてきた。
「あ、うん。そうだね」
明らかに挙動不審な私。
こういうとき、どういう対処をすれば正解なの?
話を聞いてしまったことを正直に話し、本心を聞き出す?
だからって、誰が救われるのだろう。
私だけがスッキリしたいだけじゃない?
聞いていないことにして、何も知らないフリをして、今まで通り仲良くする?
それは絶対に無理だと思う。