JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「ちょっと待ってて」
壮志さんがホットコーヒーを注文する姿をボーっと眺めていた。
幸せだな。
全部なかったことにしたい。
裕美子の電話もジョーさんのことも。
平和にふたりで愛を育みたい。
テーブルにトレイを置いた壮志さんは、ゆっくりと私の前の席に腰を下ろし、私を見つめた。
「何?もう試練が来た?」
「壮志さん、何か知ってるの?」
壮志さんは、目を大きくして、コーヒーを飲む。
喉仏が男らしい。
「いや、別にハッキリと確信しているわけじゃないんだけど」
と珍しく、モジモジしている壮志さんを見ていると、裕美子の気持ちに気付いているんじゃないか、と思えてくる。
「裕美子のこと?」
大きく見開いた目が、今度は伏し目がちになる。
「まぁ、そうかな」
「裕美子の好きな人のこと?」
中学時代の思い出と重なる。
友達と同じ人を好きになって、その彼は友達を選んだ。