JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
その日の午後、真佐から内線に電話があった。
『一緒に帰らない?』
裕美子のことを隠しながら真佐に会うのは辛かったけど、真佐が私に助けを求めているのなら絶対にそばにいたい、と思い、一緒に帰ることにした。
「最近、彼とはどう?」
スタイリングしたばかりのようなゆるふわカールの髪に、ほんのり香る香水。
「うん。まぁ、順調かな」
女子力の違いに、ため息をつきたくなる私。
私に彼氏がいて、真佐に彼氏がいない現実が信じられない。
「倉坂さんとエレベーターで会ったよ」
「あ、聞いた聞いた」
「へぇ、本当に順調にうまくいってるじゃん。どこで密会してるんだか」
と私の腰に手を回した真佐。
私達は、周りの急ぎ足の人々の間で、ゆっくりと歩いていた。