JUICY KISS ～あなたの唇独り占め～【番外編追加】

「そっか。そうだったんだ。倉坂さんのことで嘘をついたから、ジョーさんのことも嘘をつかなければいけなくなったんだよね」

私がさらっとした口調でそう言うと、安心したのか、裕美子は初めて笑顔を見せた。
でもすぐに真顔になり、大きく息を吸い込んだ。

「倉坂さんのことを好きだってことを、もしも転勤してくる前に相沢さんに話していたら･･････と何度も思いました。でも、相沢先輩のことだから、それを知っていたら私の恋を応援してくれていたと思うんです。絶対に倉坂さんのことを好きにならなかった気がする。でも、そんな優しい人だからこそ倉坂さんは選んだんです。でも、でも･･････嘘をついて、応援しているふりをした私は最低です。それに、今回のことがなかったらずっと嘘をつき続けることになったはずです」

静かに喉にアイスコーヒーを流し、呼吸を整える。

確かにその通りで、裕美子が壮志さんの転勤前に好きだと言っていたとしたら、私は好きにならなかった、というか、なれなかった。

あの歓迎会での一目ぼれもなかったことになる。

いや、どうだろう。
やっぱり好きになっていたのかな。