JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】

「全部が嘘じゃないって言っても信じてもらえないですか」

蚊の泣くような声でそう言う裕美子の悲しそうな表情を見ていると、全部が嘘だなんて思えないよ。

「信じるよ。社員旅行で私を応援してくれた裕美子は、なんだか嘘だって思えない」

「あの時、自分でも不思議だったんですけど、相沢先輩の恋を応援していたんです。露天風呂の時、倉坂さんと相沢先輩が話せるチャンスだったのに、別の子が来て話せなかった。本当に悔しかったし、自分よりも相沢先輩の為にって思った」

人は一面だけじゃないって教えてくれたのは壮志さんだった。

嘘をついていたかもしれない。
でも、私との会話や私との楽しい時間が嘘だったわけじゃない。

「露天風呂で思ったこと正直に言います。私、人間関係でうまくいかない性格だったので、相沢先輩が私をかわいがってくれて、本当のことを話してくれたことが本当に嬉しかったんです。だから、あの時、倉坂さんよりも相沢先輩の方が大事だと思った。あきらめたいって思ったんです」

絞り出すように気持ちを吐き出す裕美子に、私はただ頷いていた。


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