JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】

「でも、でも・・・・・・宴会の時に、倉坂さんに呼び出されて、セクハラのことで説教されたじゃないですか。あの時に、私の中で溢れ出てしまって。目を見て話すのは初めてだったし、肩や頭に触れる感触とか、本当にもう、この人が好きなんだって実感してしまったんです」

その表情からも、好きだという想いが伝わりすぎて、胸が痛い。

痛いよ。
わかるもん。

私もそうだったから。


目が合うだけで、一緒の空間にいるだけで息ができなくなるくらいにドキドキした。

罪だよ、壮志さん。


「あれは、反則だよね」

裕美子じゃなくても、あれは惚れちゃうと思う。

かっこよすぎたもん。
かばうだけじゃなくて、ちゃんと話してくれた。

「あの後、部屋でずっと考えてたんです。どちらを選ぶんだって。相沢先輩の恋を応援するなら、絶対にあきらめようって。でも、好きって想いがどんどん膨らんで、宴会の途中でジョーさんにメールしたんです。やっぱり倉坂さんが好きだからどうにかしてって。私は、相沢先輩の事も失いたくなくて、正直に言うこともできなくて黙って好きでいる道を選んだんです。でも、それって一番卑怯ですよね」

宴会の途中で、ジョーさんと真佐が消えていった理由。
やはり、どうにかしようとしたジョーさんが真佐を呼び出したんだろう。

「好きって気持ちは、理性じゃどうしようもないもんね。それ私もよくわかる。私も倉坂さんのことあきらめようってずっと頑張ったもん。でも、好きって気持ちはコントロールできないよ。だから、仕方ないと思う。でもさ、辛かったでしょ?」

裕美子は、下を向いたまま、首を横に振って、私が悪いんですと言った。


「旅行でふたりが付き合い始めた時、悲しいとか悔しいよりもホッとしたって気持ちが大きかった。これで自分が止められるんじゃないかって思ったんです。それに、ゆめちゃんに取られるくらいなら、相沢先輩と付き合って欲しかった。すごく勝手な考えですよね」
< 287 / 331 >

この作品をシェア

pagetop