JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「自分で自分が止められなくなっていたんだね、裕美子」
私は、できるだけ優しい口調で話そうと思った。
「早く言うべきでした。ずっと黙っていて、私どうするつもりだったんだろうって思います」
「でもさ、正直に言うって物凄い勇気いるし、私が裕美子の立場だったとしても無理かもしれないな」
「でも、どこかで引き返す道はあったと思うんです。もう自分で自分が止められなくて。相沢先輩にもバレたくないけど、倉坂さんとは仲良くなりたかった。このままじゃ嫌だって思った」
グラスの中の氷がコロンと揺れた。
私は、残り少ないコーヒーを少し口に含み、裕美子の顔を覗き込んだ。
「私、最低です。ジョーさんを脅したんです。社員旅行の少し前だったと思います。急に関係を絶とうとしてきたから、私は焦ったんです。倉坂さんとの接点がなくなるって。だから、倉坂さんと私がうまくいくように協力してって頼んだ。そうじゃないと、私とのセフレ関係を真佐さんにバラすって・・・・・・」
いい方向に進んでいたかと思われたけど、一気に雲行きが怪しくなる。
口に含んだコーヒーを飲み込もうとするのに、うまく飲み込めない。
そうだったのか。
そうか。
やっと、絡まった糸がほどけ出す。
「だから、私が社員旅行でメールを送った時、真佐さんと部屋に行ったんだと思います。真佐さんにバラされるっていう怖さもあったんだろうって思います」
だから、ジョーさんは私を狙うと言い出した。
壮志さんから私を奪い、その隙に裕美子が壮志さんと近付く、というストーリーだったのか。