JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】

ここまで来ると、さっきまでの冷静さを保てなくなってくるけど、必死に気持ちを落ち着ける努力をする。

ぎゅっと手を握り、壮志さんのことを想いながら口を開く。

「ジョーさんは、真佐と真剣に付き合いたいから、裕美子に別れを切り出したのかな」

「そうです。でも、勝手過ぎるって思ったんです。よく考えたら、私だって勝手なんです。利用していただけなんですから」

私は何も言えずに、いろんな出来事を思い返していた。

ジョーさんが飲み会の時に迫ってきたこと。

あの時、ジョーさんが何かに追い立てられているように感じたのは、勘違いじゃなかった。

「自分でも止められなかった。どうしたいのかわからなかった。ジョーさんを引き止めたかっただけのような気もします。セフレとはいえ、そこに小さな愛情はあったし、ひとりになるのが怖かった。倉坂さんも、ジョーさんも、相沢先輩も失うって思って怖くなった」

「ジョーさんは裕美子のその気持ちを聞いて、どういう反応だったの?」

「ジョーさんは、案外小心者なんですよ。本気で私がいろんなことをバラせば、出世にも響くだろうし、もちろん真佐さんとも破局になる。だから、倉坂さんと私が付き合えるようにと必死だった。でも、それは無理ってわかったみたいで、1回だけ倉坂に抱かれてみるのはどうか、と提案された」


抱かれる?

本人の意思と関係ないところで、壮志さんが利用されていて、恐ろしい。

だから、あの飲み会で、あんな展開になったんだろうね。
壮志さんにもお酒をすすめていたし、酔った勢いで、ってのを狙ったのかもしれない。

手が震える。

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