JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
22階で降りて、そこに誰もいないことに安心した。
ここは、ソファが6つ並んだ、休憩所があり、自販機が並んでいる。
禁煙ということで、あまり社員にも人気がない場所だけど、私は時々ここに来る。
それは、壮志さんがこの場所が好きだって言ってたから。
大きな窓に手を当てて、遠くの景色を見つめる。
ドン
私の右手の横に、大きな右手が。
これ、壁ドンっていうか、窓ドン?
振り向かなくてもわかる。
この匂い、この手。
「ばぁか。何、逃げ出してんだよ。お前があの子に泣かされるとかおかしいだろ」
後ろから首に腕を回され、私は我慢していた涙がぽろぽろとこぼれた。
「だって、だって」
「心配でこっそり見に行こうと思ったら、菜々子が走り出すから、追いかけるの必死だったよ」
壮志さんの腕で、私はくるりと回され、胸の中に抱かれた。
「よく頑張ったな」
優しく前髪を整えて、おでこを撫でる壮志さん。
「今日、朝まで一緒にいられる?俺んち来ない?」