JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】

初めての夜

~初めての夜~

夜風が気持ちいいと感じるのに、体が小刻みに震えているように思える。

真実を知りたいと思う一方で、知るのが怖かった。
私が想像していたより、ずっとずっと辛い現実と向き合うことになる。

待ち合わせは、会社のビルの裏にある公園のベンチ。

その横にあるスペインバルから陽気な音楽と、食欲をそそる匂いが届く。

あの後、デスクに戻ると裕美子から、早退します、というメッセージが置かれていた。

裕美子の隣に長時間座っていることが耐えられる心理状態じゃなかったから正直ほっとした。

整理しようとしても、自分の感情が邪魔をして、うまく整理できない。

裕美子は私よりも前に壮志さんを好きになっていて、それを知らずに私は壮志さんに恋をした。
そこまでは理解できた。

ジョーさんとのことがいくら考えてもよくわからない。

裕美子にも、ジョーさんにも怒りが込み上げる。

この世に、セフレという関係があるってことがまず許せない。
セックスフレンド。

昔で言うお茶飲み友達のような感覚なの?

好きでない人と定期的にエッチをする。

その感覚が理解できないし、そこに利害関係みたいなものが絡んでいるとすると、ますます汚らしいと思ってしまう。

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