JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「手料理食べたいな~って思ったけど、それは今度でいいや。今日は、飲もう」
ビールで乾杯した後、壮志さんはそう言ってくれた。
その時気付く。
さっきまでの、震えた体も、不安な心もどこかへ吹っ飛んでいる。
壮志さんの家に行くってことで浮かれている私は、さっきまでの裕美子への怒りも消えていた。
壮志さんは、裕美子との話し合いのことは何も聞かずに、グイグイとお酒を飲み、ガーリックシュリンプを食べていた。
「うめぇな」
その微笑んだ顔が本当に愛しいと思った。
二杯目のビールを一口飲んだ後、壮志さんが、顔を近付ける。
「酔わないと、話すのも辛いだろ」
またビールを一口、
「俺も、さっき話してきた。城ノ上さんと。多分、ほぼ同じ内容を聞いたと思うから、菜々子のショックもよくわかる」
仕事終わりに、城ノ上さんのところに行った壮志さんは、何か相談に乗れることがあれば言ってください、と言った。
時間あるかと言われ、少し話すことになり、そこで裕美子とのことを聞いた。
口止めをされるかと思ったけど、城ノ上さんは私に話すことを許してくれたんだって。