JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
タクシーは静かに停車し、私達はマンションの横で降りた。
「ここ?」
「ああ、5階」
壮志さんの住むマンションの玄関はオートロックで、高級感が漂う。
「芸能人って、こういう場面を写真に撮られるんだよな」
と壮志さんは私の体に腕を回しながら、中に入る。
「素敵なとこだね。おしゃれ~」
木目の壁に囲まれたエレベーターの中で、緊張をほぐすようにキョロキョロと周りを見回す。
それは、壮志さんの視線があまりにも熱いから。
あまりにも私だけをじっと見つめているから恥ずかしくて・・・・・・
「菜々子、こっち向けよ」
くいっとあごの下に指を持ってきて、私の顔を動かす。
「照れるね」
私は目を合わすと、そう言って平常心を装う。
心臓はバクバクで、今にも口から飛び出しそうだった。
キスされるのかと思った瞬間、エレベーターが止まり、壮志さんは自然な感じで私の手を引く。
自然に繋がれる手の感じが、嬉しい。
「ここ、俺の部屋」
ぶっきらぼうにそう言った壮志さんも、もしかしたら緊張してるの?
「鍵、欲しかったらやる」
ボソっと、ものすごいことを言う。
憧れの“合鍵”!?