JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「部屋、散らかってるけど」
ドアが開いて、最初に目に入ってきたのは、玄関に飾られているバスケットボールだった。
「お邪魔します」
靴をそろえているときに、心地良い匂いに気付く。
あ、この匂い。
壮志さんの匂いと同じだぁ。
玄関に置かれている香りの瓶には、ホワイトムスクと書かれていた。
物が少ないシンプルな部屋。
全然散らかってない。
むしろ、モデルルームのような雰囲気。
「綺麗な部屋だね」
呟くようにそう言った私の背中に温かいものが触れる。
「あ」
大好きな腕に包まれていた。
「家に呼んで、いきなり抱きしめるとか、俺、高校生みたいだな」
「ふふ。そうだね」
我慢できないのは私も同じだった。
「まずは、コーヒーでも出すべきかな、俺」
おでことおでこをくっつけたまま、熱い吐息が届く。
「コーヒーより、壮志さんが欲しい」
明日の朝思い出して、確実に恥ずかしくなるセリフだ。
欲しい、だなんて。
と、冷静にもうひとりの自分が私を見ているような感覚だった。