JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
「私、あきらめる」
突然そんな宣言をした私に、真佐がキツい口調で言った。
「何!?そんな簡単にあきらめんの?あの女に負けるつもりなの?」
負けたくないけど・・・・・・
勝てる気がしない。
勝負をする前からあきらめるなんて情けないけど、この年齢になると、臆病になってしまうんだ。
「倉坂さんは、ああいう女は好きじゃないと思うよ」
根拠のない真佐の励ましに、少し安心している自分がいる。
「絶対、菜々子のこと気に入ってるって。だって、いきなりキスとかおかしいじゃん」
「そうなの。あの人、おかしいの」
「だよね。普通に考えて、付き合ってないのに何度もキスとかありえないし」
倉坂さんの行動はおかしい。
私だっておかしい。
よく知らない男性のキスを受け入れているんだから。
それを、喜んでいるんだから。
おかしい。
恋しているからおかしい。
「私のことどう思ってるんだろう」
それが一番気になる。
でも、聞けない。
私の気持ちは出来る限り隠していたい。
バレちゃうと、セフレになっちゃいそうで。
って、まだキスしかしていないのに。