JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
ゆめちゃんとの疑惑の夜から、1週間が経ったある日。
エレベーターで倉坂さんに会った。
隣にはゆめちゃんがいた。
朝一かのような完璧な巻き髪。
男受けしそうな香水。
シンプルなネイルも男の視線を意識しているのだろう。
上目遣いで倉坂さんを見つめるゆめちゃん。
私の方をチラリと見て、少し微笑んだ気がした。
勝った!!って顔に見えて。
私はただただ下を向いた。
「じゃあな、相沢」
エレベーターを先に降りた倉坂さんが私にそう言って、ゆめちゃんにわからないように私の背中をポンと叩いた。
涙が出た。
嬉しくて。
ほっとして。
忘れられたのかと思っていた。
背中をポンとされただけなのに、涙が止まらなくて、私は本当にバカだなって思った。
バカすぎるくらい、倉坂さんに惚れてしまっているのだ。