JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
さっきまでいたカップルは、イチャイチャしながらどこかへ行ってしまった。
「どうしてかな。相沢と一緒にいると、ホッとできるよ。仕事のこと忘れられる。ずっと前から友達だったみたいな気がする」
また“友達”というワードが出てきてしまったけど、私は嬉しかった。
私といるとホッとする、なんて。
言われたことがない。
今までの彼氏、誰もそんなこと言ってくれなかった。
だって、自分でも思う。
私は癒し系ではない。
気が強い方だし、すぐにケンカしちゃうし、彼氏を癒した思い出はない。
「私も・・・・・・倉坂さんと一緒にいると、ホッとします」
勇気を出して言ってみた。
こんな発言も私は苦手。
「また敬語?バツとして、帰り道でキスしてやるからな」
「へ?」
「ははは。お前はいちいち面白いな。嘘だって」
嘘じゃなくていい。
キス、したいよ。私。
そんな想いを込めて、倉坂さんの綺麗な指を見つめた。
コーヒーカップを持つ手。
少し血管が浮き出ていて、大きくてがっしりしているのにしなやかな手。
綺麗な爪。