JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
店を出ると、少し肌寒かった。
「寒いな」
「そうだね」
そう言ったきり、無言になった倉坂さんは駅の方向へ歩き出した。
「ほれ」
倉坂さんは、少し恥ずかしそうに顔をそむけたまま、左手を差し出してくれた。
「寒いから繋いでやる」
温かい手で、包み込まれる。
キスよりも、倉坂さんの心に近付けた気がした。
「どうして・・・・・・こんなことするの?」
こんな質問をして、彼を困らせたいわけじゃないのに。
「ごめん。迷惑だった?」
「そんなんじゃない。でも、こんなところ見られたら困るんじゃない?」
私はバカだ。
いつも否定して欲しくてこんなことばかり言う。
そうだなって手を離されたら悲しいくせに。
「そうだな」
と、手を離された。
「会社の近くだし、危険だったな」
倉坂さんは、自分のポケットに手を入れた。