JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
その日の帰りに、エレベーターで倉坂さんと会ってしまった。
隣にゆめちゃんがいなかったので、話すチャンスだったけど、私は話しかけなかった。
すると、倉坂さんも話しかけようとしなかった。
軽く会釈をしただけで、エレベーターを降りた。
悲しくて悲しくて、また泣いてしまいそうだった。
でも、今までの関係でいても辛いだけ。
距離を置いたからといって何かが変わるとは限らないけど、何か変化が欲しかった。
距離を置くことで、倉坂さんの気持ちに何か変化があるんじゃないかと期待している私は、ただただ彼に片想いをしている少女のよう。
好きなのに冷たくして、気を引こうとするなんて、そんな初歩的な作戦で落ちる程、彼は甘くない。
だけど、彼の心をGETする方法がわからない。
私は、それからもなるべく倉坂さんを避けて過ごしていた。
心の中は倉坂さんでいっぱいだった。
このまま、遠くに行ってしまうんじゃないかと怖かったし、毎晩彼の夢を見てしまっていた。
どんどん好きになるのに、どんどん遠くなっていく。