JUICY KISS ~あなたの唇独り占め~【番外編追加】
玄関前で直立不動で待つ私。
「お、やる気満々じゃん」
家の前まで来てくれた倉坂さんをまじまじと観察。
白のポロシャツに真っ赤なパンツ。
シャワーを浴びたのか、髪はナチュラルだった。
「ありがとうございます」
私は助手席に乗った。
黒のプリウス。
運転も荒くなく、丁寧。
車の中も程よく綺麗で、落ち着く。
BGMは、懐かしい洋楽。
「何、黙ってんの?」
ナビに練習場をセットしながら、倉坂さんが言った。
「え?」
「緊張してんだろ。俺の車」
「別に、そんなことないです」
「お前、また敬語に戻ってんな?何、怒ってんの?」
私の方に視線を向けたまま、エアコンの風の向きを変える。
私の顔に当たっていた風が私の胸元に移動した。
「どうする?先に誤解を解くか、練習した帰りにする?」
まだ5月なのに、もう冷房が気持ち良い気温だった。