notebook 1
なんて。ちょっと図々しいかな。送信ボタンに指を添えたまま固まる私。
「……当たって砕ける!」
えいっと勢いにのって送信ボタンを押した。
携帯をとじてため息をもらす。
甚野先輩が来たのはそれから5分ほど後のことだった。


「じ、甚野先輩、早くないですか?」
「ちょうど近く通った時にメール来たからね。
 笹木が風邪なんてめずらしいから心配だったし」
茶化すように甚野先輩が微笑んだ。私は目を合わせないようにしながら、
「上がってください。ちょっと散らかってますけど」
と甚野先輩のために道を開けた。


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