notebook 1
その後、甚野先輩はりんごを剥いてくれて、いろんな話をしてくれた。
私もいろんな話をして、外がすっかり暗くなってきた頃に
甚野先輩は腰をあげて帰っていった。
甚野先輩がいなくなり、明るさが一段階ほど暗くなった部屋で私は鏡を見た。
不思議な特性は消えてしまったけれど、今日は楽しかったなーなんて思いながら。
「んー、まつげやっぱ入ってないなー」
鏡の中の自分の目を見た瞬間、私の胸はドキドキと大きな音を立てて鳴り出した。
「やばっ……」
相手次第では本当に最悪の特性は、どうやら消えていなかったらしい。
じゃあなんで先輩は……そんなことを考える前に、
私は鏡の中の私に夢中になっていた。
ようやく自分自身への熱が冷めて一ヶ月ほどたった頃のこと。
私は甚野先輩に告白されて付き合うことになった。
END