ブナイレンアイ

『いただきます』

私と部長は同時に言って声が重なり、顔を見合わせて笑いあった。

「美味しい…!」


ラーメンはとても美味しくて、思わず顔が綻んでいくのが分かった。


「可愛いな」


突然部長がポツリと呟いた。


「え?」


今、部長、なんて言った?
可愛い?

河合?
河合さん?



「なんだその顔は」


「え?だって、え?」

パニックに陥る私。


「食べてる時、幸せそうな顔してんなって思って」

「な、なんだぁー。びっくりしましたよ!」


「それだけじゃ無いんだけどな…」


部長の呟きは誰にも聞かれることはなかった。
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