ブナイレンアイ

「先輩…ありがとうございます…」






先輩の背中に手を掛けてつかまる私が言った言葉は小さすぎて、聞こえなかったかもしれない。



だけど、先輩は聞いていてくれた。


「ううん。お礼言われることはしてないよ」



私に返ってきた言葉で先輩に私の言葉が届いたことがわかった。



だだし、私に聞こえたのはここまで。


「ま、不純な動機のが強いけどね」


先輩のこの呟きは風になびいて誰にも聞かれることなく消えて行った。
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