ブナイレンアイ
「ごめん。ごめんなさい。私、まだコウが消えない。きっと、多分、まだコウのこと好き。そんな気持ちで誰かを好きになんてなれない。ごめんなさい」
「顔、上げてください。先輩。僕は先輩のそう言うところを好きになったんだと思います。それに…分かってたんです。まだ先輩のなかに岡田先輩がいること。分かってて告白したんです」
そう言ってカオルくんは寂しそうに笑った。
「ありがとう。私を好きになってくれて」
私の瞳から流れる涙は頬を濡らしていった。
「でも!諦めるつもりはそうそうないですから!」
そう言ってカオルくんは体育館から出て行った。振り返ったその頬に伝うもの、見えたよ。
ごめんなさい。
ありがとう。