ブナイレンアイ



お父さんに電話をかけようとした先生を、走ってきたのか息をきらせたコウが制した。



「待って下さい。ユナのお父さんには、それだけはだめです」




「なにか、知ってるのか?」



部長がコウに近づく。




「コウ…やめて…言わないでいいから。やめて」



「ユナ…」





「でも、ここまで大事になると…親御さんに話を通さなきゃいけないんだよ」



「それでも…!」



「ユナ」




コウは私に向かって歩いてきた。



「そんなことより…その髪…」



コウが私の頭に触れようとしたその瞬間。




パチン!





私の隣のハルキ先輩がコウの手を払った。



「コウ。お前じゃねーよ。お前にはその資格ねーんだよ。お前だけは違うだろ?」

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