ブナイレンアイ
「うん、聞かないよ。聞かない。ユナちゃんが言いたくないなら聞かないし、入らない。ユナちゃんが隠してる領域の中には」
先輩は私の殴られた傷にそっと触れた。
そこには絆創膏が貼ってあって…
「せん…ぱい……」
私の頬を一筋の涙が伝った。
「もし、ユナちゃんがはなせるなら、部活のみんなには話した方がいいと思う。マサと、カナト、カオル。コウは…知ってるんだよな。みんな、心配してた」
もう逃げてばかりではいられない。
私は深く頷いた。
「大丈夫。話せます」
「よし!じゃあ、取り敢えず美容院だね!行こう」
私は急いで支度をして、ハルキ先輩と家を出た。
着いたのはオシャレな感じの美容院。
なんでも、ハルキ先輩の知り合いが経営してるらしい。
「ななさん!いるー?」
ハルキ先輩がそう言いお店に入って行った。
その後に続く。
「あら!ハルくん?大きくなったわねー」
「こないだも切ってもらったばっかりでしょ」
そんな2人の会話に思わず笑みがこぼれた。