ブナイレンアイ
「ハルくん。その子が髪切って欲しいっていう子かしら?可愛いわね。彼女さん?」
「違うよー。彼女とかじゃない。片想いだって」
ハルキ先輩の言葉に耳まで赤くなるのがわかった。
「先輩!!」
「それにしても…早いとこ切っちゃいましょ!女の子なのに可哀想だわ。そんな髪じゃ」
「あ、あの…よろしくお願いします…」
「はーい。座ってねー」
それから、私の髪をテキパキと洗い、乾かして、髪を切り始めたななさん。
「どんな感じの髪型がいい?」
「おまかせします」
それから。
鏡には私にはとても見えない女の子が写っていた。
長かった髪は肩につかない程度の内巻きボブで、髪の色も少し明るい。
顔にはほんのり化粧も施されていた。
「わぁー!すごい!」
私の口から思わず感嘆の声が漏れた。
その声にハルキ先輩も雑誌から私に目を向けた。
「すげー!ななさん。天才じゃん!」
「素材がいいのよ」
「それは認める」
私恥ずかしくなって、勢いよく、椅子から飛び降りた。