ブナイレンアイ
「ユナちゃんが女子になった」
「失礼です!私はれっきとした女子ですから!」
しばらく先輩の背中につかまっていると、学校の門が見えてきた。
そこからはまばらに生徒達が出てきていて、今から入る私たちはなんだか注目されている。
「いこ?」
そんな視線をものともせず、先輩は私の前を歩き、部室に向かう。
ガラッと部室のドアを開け、先輩に続いて部屋に入ると、そこにはいつものメンバーがそろっていた。
「ユナ!それ!」
カナトが真っ先に絆創膏と髪にきづき、コウは悔しそうに眉を寄せた。
「ごめん、ユナ。俺、昨日ユナの家まで行ったのに、ごめん」
「コウは悪くないんだよ?だれも、悪くない」
「いや、悪い奴いるだろ。髪切った奴とか、いっぱいいるだろ」
部長も顔を落とす。
「本当にもういいんです」
もう、お父さんには会わないのかな?
ふとそんなことが頭をよぎったけど、今は気にしないよう軽く頭を振る。
「あの…みなさん。聞いて欲しいんです。みなさんには知っていてもらうべきだと思います」
私は抱えていたカオルくんの学ランを返しながらそう言った。