ブナイレンアイ
「私はお父さんと2人家族です。でも、お父さんは私の事嫌いなんです。家を出て行った母とそっくりなんですよ、私の顔」
みんなは黙って相槌を打ってくれていた。
「もともとはお父さんが原因なんです。暴力がすごくて、だんだんと小さい私にも手を上げるようになった。私は母に助けを求めた。だけど…母はあの家に私を置いて、別の男と逃げました」
そこでカナトが舌打ちした。
「それから、私は大きくなったし、お父さんは仕事に打ち込むようになって!暴力はなくなりました。だけど、私の顔を見ると機嫌、悪くなるんです。いつ殴られるかわからない。だから私は髪を伸ばしました」
「髪?」
カオルくんが首を傾げる。
「母はショートカットだったんです。だから、私は似ても似つかないようなロングにしたんです。せめて雰囲気さえ違えばって。バカですよね。考えること、本当にバカ。でも、私にはそれしかできなかった」
そこで私は一息ついた。
「鏡を見たときに愕然としました。私の幼い記憶の母と瓜二つなんですよ、今の私」
「だからあの時あんなに…」