ブナイレンアイ
「案の定、ショートになった私を見てお父さんは激昂しました。私はわからない。お父さんも母もどっちが悪いかなんてわからない。どうしたらいいかわからない」
私の瞳からはポロポロと大粒の涙が流れた。
「つらかったな…」
ハルキ先輩が私の頭を撫でてくれていた。
「話してくれてありがとう」
部長も優しく微笑んでくれていた。
「私こそ、迷惑かけて、心配かけてごめんなさい。ありがとうございます」
「それはべつにいいんだけどよ、結局誰なわけ?見当はついてるんだけど、犯人」
「カナト。それは俺らの出る幕じゃないよね?」
ハルキ先輩が諭すように言うとカナトは押し黙った。
その場で、たった一人、コウだけが言葉を発しずに俯いて唇を噛み締めていた。