ブナイレンアイ
「こんにちは。春原由奈さん?」
たまたま、先輩が進路学習があるとかで一緒に帰れなくなった日、私は1人で帰り道を歩いていた。
ふと、この間の女性に会った道を通った時、後ろから声がかかった。
「えっと…」
まぎれもなくあの日の女性。
この人のことは先輩からなにも聞いていないけど、何かあったのは間違いない。
私は警戒しながらも微笑む。
「はい。春原です。あなたはこの間の?」
「はい。石田玲華と言います。高校2年です」
目の前の女性もとい、石田さんはお辞儀した。
「同い年?」
私は思わずほうけてしまった。
こんなに大人っぽい人が同い年なんて、自分に自信がなくなる。