ブナイレンアイ


「きっと、誰が見ても仲良しのカップルだったと思う。俺も、そう思ってた。でもね、違った。俺さ、幼馴染がいて、そいつ、人と絡むの苦手でさ、俺といつも一緒だった。バスケも一緒、普段つるむのも一緒。玲華と付き合ってからもそれは変わらなかったんだ。玲華もそれでいいって、納得してた。でも、その関係を全て壊したのは、玲華と、まだ子どもだった俺」



「うん…」



「俺が担任に呼ばれて帰りが遅くなった日、あいつら、下駄箱で待っててくれてた。それは結構いつものことで、でも、俺が行った時、あいつら、キスしてた」



私は息を飲んだ。




まるで、私自身の話を聞いているようだった。





「ユナを見てると、過去の俺を見てる気分だった」



「うん…」





「今思えばさ、キスっていっても玲華からの一方的なものだったんだ。でも、俺はあいつを殴った。許せなかった。後で玲華に言われたよ。ガードの固いあいつに近づくためにあんたと付き合ったってね。結局、俺はあいつに利用された訳で、悔しかったよ。本当、悔しかった。俺はその時愛する人と親友を同時に失った。でも、それでもあいつは俺を許しくてれてた。友達でいようとしてくれてた。あいつは許してくれてたけど、俺自身が俺を許せなかった。高校もわざわざ遠いここに、一人暮らししてまで来てさ。本当勝手だよな」



先輩は一人暮らししていること、過去を持っていること、辛い想いを今でも抱えてること。



私が、知らないことばかりで、あまりにも重すぎて、先輩の肩が折れてしまうのではないかと。



なんにも知らない。先輩のこと。






でも、わかること。



















先輩を苦しめた玲華さん。




そして疎遠になってしまった、先輩の親友。





そのままにしてはいけない。


< 251 / 252 >

この作品をシェア

pagetop