ブナイレンアイ

途端、私は勢いよく走り出した。目の前の光景を振り払うように…

後ろで藤野くんの怒声が聞こえた。呼び止めて追いかけてくる夕凪先輩とカオル君の声が聞こえた。

「速っ!追いつけな…」

先輩の声が耳に届いた。あぁ、私まだ走れるんだ…



ドンッ


すると、私は誰かにぶつかって尻餅をついた。


「すみませ…」





「春原?お前また…」


もう何も聞きたくなくて耳を塞ぐ。何も見たくなくて目を塞ぐ。
< 31 / 252 >

この作品をシェア

pagetop