ブナイレンアイ

「マサ、3階の空き教室ね。カオルと合流してから来て」

夕凪先輩は私をお姫様だっこしたまま廊下を歩き始めた。

私は先輩を見上げる。

「下ろして下さい。大丈夫です。すみませんでした」


「下ろしてもいいけどさ、歩ける?」

私は黙り込んでしまった。


「足、速いね。びっくりしたよ。追いつけなかった」

「でも…このザマですし…」

現に今、歩ける状態ではなかった。足はもう、立つことさえ拒むだろう。
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