ブナイレンアイ

「泣くなんて、しません」


「そっか……」


シンとした教室、バタバタと走ってくる音が聞こえた。

足音は3つ。


ガラッ


まず救急箱を抱えたカオルくん。続いて藤野くんを引っ張る部長。藤野くんの握りしめた拳からは血が滴り落ちていた。


やっぱり、コウじゃないんだね…


私の目の前でカオルくんがしゃがみ、私の足を、テーピングで巻き始めた。

「ありがとう。1枚、ガーゼとテープくれる?」

「?はい」

私はカオルくんからガーゼとテープを受け取ると藤野くんに微笑んだ。
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