恋なんてしない…

「おい、お前ら〜、席につけ〜」

担任の伊藤が来た。

「もうみんなわかってると思うが…転校生がいる。入って来なさい」

「はい」


ゾクッ…

なんで…？

なんでここにいるの…？

嫌…だよ。なんで…


「田中 拓篤【たなか たくま】です。よろしくお願いします」

「たく…ま」

「葵…？葵じゃんっ‼︎」

「ん？お前ら知り合いなのか？」


確かに…確かに知り合いだよ。
嫌ってほどに知ってる。

拓篤のことは…よく知ってる。


「はい。中学が一緒で…」

「そうか…じゃあ、田中、お前の席は小野の後ろで良いか？」

「え」

「良いだろ？小野」

「あ……は…い」