きっともう大丈夫
片づけが終わり一息ついた頃だった。
「こんばんは・・・」
とても懐かしい声が聞こえた。
急に鼓動が激しくなる・・・・
一海さんとハルが「行きな。」と目で合図を送った。
私は緊張しながら胸に手をあて店の入り口まで歩いた。
そこには

明良と・・・・小さな女の子がいた。
「久しぶりだね。・・・沙希」
明良はあの時より少し髪の毛が短いくらいであまり変わっていなかった
そして小さい女の子は・・・・一目で親子とわかるほど・・・・明良によく似ていて
「・・・お久しぶり・・・・あの・・・この子って」
明良はあわてて紹介した。
「ごめん。この子…俺の子・・・鈴木まゆり・・・」
私はしゃがんで挨拶をした。
「まゆりちゃん。はじめまして・・・雪村沙希です。」
「まゆりだよ。こんばんは、おねえちゃん」
まゆりちゃんはクマのぬいぐるみを大事に抱えながら
挨拶してくれた。
不思議だった・・・もし私がハルと再会していなかったら・・・・
こんなに笑顔で挨拶できただろうか・・・
そして明良と会っていただろうか・・・・
まゆりちゃんはにっこり笑うと恥ずかしいのか明良の後ろに隠れた。
「えーっと・・・ここじゃーなんだし、奥で話しする?」
どうしよう私話し方がぎこちない。
するとそこへ
「明良君」
一海さんが来てくれてホッとする。
「子供は僕と春斗君で見るから沙希ちゃんと明良君は奥で話をするといいよ」
すると今度はハルが私の横にたち
「はじめまして。前野春斗といいます。沙希さんと結婚前提にお付き合いしてます」
そう言うと深々と頭を下げた。
明良はちょっと困惑しながらも
「こちらこそはじめまして・・・鈴木明良です」
挨拶をした。
まゆりちゃんを一海さんに預け私たちは奥に事務室に入った。
「幸せそうで・・よかったよ」
数年ぶりに2人きりだ。やっぱり落ち着かない。
「明良は・・・大変だったのね・・・菜々美ちゃんは本当に?」
明良は黙って頷いた。
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