きっともう大丈夫
「・・・・何も知らなくって・・・何て言ったらいいのか・・・」
「俺が悪かったんだよ。離婚当初はどうしても沙希の事が
諦めきれなくって・・・菜々美を受け入れることが出来なかった。
極端な言い方をすれば菜々美との結婚は沙希を裏切った罰だと
思っていたくらいだったしね・・・」
私は言い返す言葉がなかった。
だってそれは決して間違ってはいなかったから・・・
「でもさ・・・・不思議だよな。お腹が大きくなるにつれ情が湧いて
まゆりが生まれて・・・子育て・・・家事と一緒に生活していくうちに
情が愛情に変わっていったんだよ。
ただその変化は俺だけがわかっていたことで
菜々美には伝わってなかったんだ。」
黙って話を聞いていた。
なんだか私の知らない明良を見ている様だった。
明良の中には菜々美との生活がしみ込んでいるように見えた。
そしてそんな明良を見て彼の中にもう私はいないと確信した。
「菜々美ちゃんの事大切に思っていたんだね。」
「沙希・・」
「明良の話し方でわかったよ。菜々美ちゃんも明良の事が大好きすぎて
嫉妬して・・・お互い不器用だったんだね。」
凄く切なくなった。
明良は肩を落としながらフッと笑った。
「俺は本当に大バカ者だよ」
「今頃気づいたの?」
そこで私たちは初めて笑った。
「まゆりちゃんはどうしてるの?普段」
「俺の実家で見てもらってる。俺も今実家暮らしだし・・・」
たった数年でいろんなことが変わったのだと実感した。
「沙希も随分若そうな彼氏作ったんだな」
一気に顔が赤くなった。
「悪い?」
つい言いたくもない事を言ってしまった。
「悪くないよ。凄くお似合いだと思ってさ・・・」
「明良と出会う前に・・・・告白されてたの・・」
その言葉に明良は一瞬固まった様に目を見開いた。
「告白って・・・・彼・・・今幾つだよ」
私は軽くため息をついた
「今は26歳。告られた時は彼が・・・高校生」
明良の驚きは止まらない
「お・・お前・・高校生と?」
「ば・・ばか!違うわよ。付き合ってたら明良と付き合って結婚してなかったわよ」
そう言われ明良は少し落ち着きを取り戻した。
「再会したのは最近よ。」
「・・・・・じゃあ。再会して付き合いだしたって事か・・・」
「・・・・・・」
「若いけど・・・沙希にしてはいい男捕まえたな」
「私にしてはってなによ」
何だか腹が立って睨んでしまった。
「俺みたいなやつじゃなくてよかったよ・・・」
私は明良を見つめた。
「私はあなたと結婚していた事を後悔はしていない。あなたと結婚したから
今の私があるの。それにあなたがいたから花の仕事ができた。」
「そんなこと言うとまた好きになりそうだ」
笑って言う明良にはもう私は必要ではない・・・・
「心にもない事を・・・・」
そして私たちは笑った。
「ありがとう・・・会ってくれて」
明良が頭を下げた。
「こちらこそ・・・あの時逃げないでもっと早くこうやって話が出来たら
・・・・・こんなつらいことにならなかったのかなって・・・」
「気にするな・・・これでやっと菜々美も安心して天国に行けるかな」
「・・・・そうね」
私たちは最後に握手をして、事務所を出た。
明良はハルのいる方へと向かった。
「前野君」
「はい・・」
「俺は彼女を幸せに出来なかった。だが、君にはそれが出来る。
君がどれだけ彼女を大切に思ってるかわかるから・・
彼女を幸せにしてやってくれ。」
明良はハルに頭を下げた。
ハルは明良の目をしっかりと見ると
「絶対に幸せにします。誰にも渡しませんから」
ハルの目をみて明良はハルの本気度がわかった様で
私に向かって親指を立てた。私も明良に親指を立てた。
「俺が悪かったんだよ。離婚当初はどうしても沙希の事が
諦めきれなくって・・・菜々美を受け入れることが出来なかった。
極端な言い方をすれば菜々美との結婚は沙希を裏切った罰だと
思っていたくらいだったしね・・・」
私は言い返す言葉がなかった。
だってそれは決して間違ってはいなかったから・・・
「でもさ・・・・不思議だよな。お腹が大きくなるにつれ情が湧いて
まゆりが生まれて・・・子育て・・・家事と一緒に生活していくうちに
情が愛情に変わっていったんだよ。
ただその変化は俺だけがわかっていたことで
菜々美には伝わってなかったんだ。」
黙って話を聞いていた。
なんだか私の知らない明良を見ている様だった。
明良の中には菜々美との生活がしみ込んでいるように見えた。
そしてそんな明良を見て彼の中にもう私はいないと確信した。
「菜々美ちゃんの事大切に思っていたんだね。」
「沙希・・」
「明良の話し方でわかったよ。菜々美ちゃんも明良の事が大好きすぎて
嫉妬して・・・お互い不器用だったんだね。」
凄く切なくなった。
明良は肩を落としながらフッと笑った。
「俺は本当に大バカ者だよ」
「今頃気づいたの?」
そこで私たちは初めて笑った。
「まゆりちゃんはどうしてるの?普段」
「俺の実家で見てもらってる。俺も今実家暮らしだし・・・」
たった数年でいろんなことが変わったのだと実感した。
「沙希も随分若そうな彼氏作ったんだな」
一気に顔が赤くなった。
「悪い?」
つい言いたくもない事を言ってしまった。
「悪くないよ。凄くお似合いだと思ってさ・・・」
「明良と出会う前に・・・・告白されてたの・・」
その言葉に明良は一瞬固まった様に目を見開いた。
「告白って・・・・彼・・・今幾つだよ」
私は軽くため息をついた
「今は26歳。告られた時は彼が・・・高校生」
明良の驚きは止まらない
「お・・お前・・高校生と?」
「ば・・ばか!違うわよ。付き合ってたら明良と付き合って結婚してなかったわよ」
そう言われ明良は少し落ち着きを取り戻した。
「再会したのは最近よ。」
「・・・・・じゃあ。再会して付き合いだしたって事か・・・」
「・・・・・・」
「若いけど・・・沙希にしてはいい男捕まえたな」
「私にしてはってなによ」
何だか腹が立って睨んでしまった。
「俺みたいなやつじゃなくてよかったよ・・・」
私は明良を見つめた。
「私はあなたと結婚していた事を後悔はしていない。あなたと結婚したから
今の私があるの。それにあなたがいたから花の仕事ができた。」
「そんなこと言うとまた好きになりそうだ」
笑って言う明良にはもう私は必要ではない・・・・
「心にもない事を・・・・」
そして私たちは笑った。
「ありがとう・・・会ってくれて」
明良が頭を下げた。
「こちらこそ・・・あの時逃げないでもっと早くこうやって話が出来たら
・・・・・こんなつらいことにならなかったのかなって・・・」
「気にするな・・・これでやっと菜々美も安心して天国に行けるかな」
「・・・・そうね」
私たちは最後に握手をして、事務所を出た。
明良はハルのいる方へと向かった。
「前野君」
「はい・・」
「俺は彼女を幸せに出来なかった。だが、君にはそれが出来る。
君がどれだけ彼女を大切に思ってるかわかるから・・
彼女を幸せにしてやってくれ。」
明良はハルに頭を下げた。
ハルは明良の目をしっかりと見ると
「絶対に幸せにします。誰にも渡しませんから」
ハルの目をみて明良はハルの本気度がわかった様で
私に向かって親指を立てた。私も明良に親指を立てた。